予防歯科
生涯を通じて健康な歯でいるために
「予防歯科」を始めましょう
予防歯科とは虫歯・歯周病になってからの治療ではなくなる前の予防を大切にすることです。
歯とお口の健康を積極的に守るため、歯科医院での「プロフェッショナルケア」と毎日の「セルフケア」の両方で予防歯科を実践しましょう。
プロケアで予防歯科
歯科医院で行う予防歯科
歯科医師や歯科衛生士による定期的な口腔内検査やクリーニングを指します。プロケア(プロフェッショナルケア)によって、虫歯や歯周病を予防することができます。主なプロケアは以下の通りです。
歯周病検査・口腔内検査
歯周病検査は、歯肉や歯周組織の健康状態を評価することができます。歯周病は、歯肉の腫れや出血などの症状から始まり、進行すると歯周組織が破壊され、最終的には歯を失うことにつながる病気です。また近年、歯周病は糖尿病やアルツハイマー型認知症や様々な体の病気とと相関があり、歯周病の治療はそれらの病気の予防に効果的と言われております。
歯周病検査では、歯肉の状態や歯周ポケットの深さなどを測定し、歯周病の早期発見・治療につなげることができます。
一方、口腔内検査は、口腔内全体の健康状態を評価することができます。口腔内には、歯、歯肉、舌、口蓋などがあり、それぞれの健康状態をチェックすることが必要です。口腔内検査では、虫歯や口内炎などの病気の早期発見や、口内環境の改善につながるアドバイスを受けることができます。また、口腔内検査では口腔癌の早期発見にもつながります。
以上のように、歯周病検査と口腔内検査は、予防歯科において重要なプロフェッショナルケアとなっています。歯周病や口内疾患は、早期発見・治療が大切ですので、定期的な検診を受けることをおすすめします。
歯磨き指導
プロケアには、歯磨き指導が欠かせません。歯磨き指導は、虫歯や歯周病を予防するために、正しい歯磨きの方法を患者さんに教えることです。歯科医師や歯科衛生士は、患者さんが正しい歯磨き方法を身につけることで、健康な歯を維持するお手伝いをします。
歯磨き指導は、歯ブラシや歯磨き粉の選び方から始まります。歯ブラシは、毛先が柔らかくて、歯と歯茎に優しく当たるものが適しています。また、歯磨き粉は、フッ素を含んだものが虫歯予防に効果的です。また正しい歯磨きの方法には、歯ブラシを使って歯の表面、内側、噛み合わせ面を磨く方法があります。また、歯磨き後には、うがいやフロスを使って、歯と歯茎の間に残った汚れを取り除くことが大切です。歯ブラシや歯磨き粉の選び方や使い方やうがい、フロスの方法については、歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。
予防歯科のプロケアにおいては、定期的な検診も欠かせません。歯科医師や歯科衛生士による検診では、虫歯や歯周病の初期段階を発見し、早期に治療することができます。また、患者さんの口腔内の状態を確認することで、適切な歯磨き指導を行うことができます。
フッ素塗布
フッ素塗布はプロケアの重要な手順の一つです。フッ素は、歯の表面に塗布することで、虫歯予防効果を発揮します。
フッ素で歯の表面にあるエナメル質を強化することで、酸に対する耐性を高めます。これにより、口腔内に存在する酸がエナメル質を侵食するのを防ぎ、虫歯を予防することができます。また、フッ素には歯の再石灰化を促す作用もあります。歯がダメージを受けた場合にも、フッ素によって歯を修復することができます。
フッ素塗布は、定期的に行うことで効果を発揮します。通常は、3か月から半年に一度程度が適切です。フッ素塗布の前には、歯垢や歯石を取り除くクリーニングが必要です。また、フッ素塗布後は、少なくとも30分間は飲食を控えるようにすることが望ましいです。
フッ素塗布は、虫歯予防だけでなく、歯の健康維持にも重要な役割を果たします。定期的な予防歯科の受診を通じて、フッ素塗布を受けることで、健康な歯を維持することができます。
PMTC
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)は、予防歯科のプロケアの一つで、歯科医師や歯科衛生士によって行われます。PMTCは、歯垢や着色汚れなどを除去することによって、虫歯や歯周病の予防効果が期待されます。
PMTCは、専用の器具を使用して行われます。まず、超音波スケーラーを用いて歯の表面や歯間に付着した歯垢を取り除きます。次に、スプレーガンやエアポリッシャーを用いて、歯の表面に付着した着色汚れを取り除きます。最後に、フッ素を塗布することで、歯の再石灰化を促進し、虫歯の予防に効果が期待できます。
PMTCを受ける頻度は、一般的には3ヵ月~4ヵ月に1回です。しかし、歯垢が付きやすい方の場合は、より高頻度で受ける必要があります。例えば、以下のような状況が当てはまる方です。
- 食事のたびに歯磨きが難しい方
- 歯並びが悪く、磨き残しが発生しやすい方
- 歯周ポケットが深い方(4mm以上)
- タバコを吸う方
- 唾液や歯の性質により虫歯のリスクが高い方
このような方々には、3ヵ月に1回の頻度では虫歯や歯周病のリスクを下げることが難しいため、歯科医院で1ヵ月から2ヵ月に1回のペースで治療を受けることを推奨します。
シーラント
シーラントとは、歯の溝や隙間に特殊な樹脂を塗布することで、虫歯の原因となる菌や食物残渣が付着するのを防止する方法です。
シーラントは、主に奥歯の噛み合わせ面に施されます。この部分は細かい溝や隙間があるため、歯ブラシなどで完全に掃除することが困難で、菌や食べかすがたまりやすい場所です。しかし、シーラントを施すことで、この部分を保護することができます。治療前に歯の表面を清掃し、乾燥させた後に行われます。樹脂を塗布する際には、光を当てて硬化させることで、強度を持たせます。施術自体は短時間で終わり、痛みや不快感を感じることはほとんどありません。特に子供の歯において効果が高く、予防歯科の中でも重要な役割を担います。子供の場合、歯磨きが不十分なため、虫歯が発生しやすいことがあります。しかし、シーラントを施すことで、虫歯の発生を予防することができます。
ただし、シーラントは永久的なものではなく、数年後には剥がれることがあります。そのため、定期的なメンテナンスが必要となります。また、シーラントを施したとしても、定期的な歯磨きや口腔ケアを怠らないことが重要です。
スケーリング・SRP
スケーリングは、歯垢や歯石を取り除くことで、歯周病の予防や治療につながります。歯垢や歯石は、ブラッシングやフロスで取り除けない場合があり、そのまま放置すると、歯肉炎や歯周病の原因となります。
スケーリングは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を使って行います。器具は、超音波スケーラーや手動スケーラーなどがあります。スケーリングは、歯垢や歯石を取り除くだけでなく、歯の表面を滑らかにすることで、再発を防止する効果もあります。また、歯肉の状態を確認し、歯周病の早期発見につながります。
スケーリングは、通常、3か月から半年に一度程度のペースで受けることが推奨されています。しかし、歯の状態によっては、より頻繁に受ける必要がある場合もあります。予防歯科のプロフェッショナルケアとして、スケーリングは欠かせない施術の一つです。正しいブラッシングやフロスの習慣と併せて、定期的なスケーリングを受けることで、健康な口腔環境を維持することができます。
より歯周病が進行した方には、SRPという処置を行います。スケーリングでは除去できない、歯ぐきの中の歯石を取っていく治療になります。
セルフケアには、プラークを残さないブラッシングとフッ素の使用が重要です
プラークは、口の中にある細菌と食渣が作り出す薄い膜のことで、歯垢とも呼ばれます。プラークが歯に付着し、そのまま放置すると、虫歯や歯周病の原因になります。そこで、プラークを残さないようにブラッシングを行うことが大切です。
ブラッシングの際には、正しい方法で行うことが重要です。まず、歯ブラシを選ぶ際には、毛先が柔らかく、小さめのものを選びます。歯ブラシを使って歯を磨く際には、歯と歯の間や歯と歯茎の境目など、細かいところまで磨くように心掛けます。また、歯磨き粉を使う場合には、フッ素配合のものを選ぶことで、虫歯予防効果が期待できます。
フッ素には、虫歯予防効果があるとされています。フッ素を使用することで、歯の表面を強化し、虫歯菌が侵入するのを防ぎます。フッ素は、市販の歯磨き粉やマウスウォッシュ、フッ素塗布剤などで摂取することができます。
以上のように、プラークを残さないブラッシングとフッ素の使用は、予防歯科のセルフケアに欠かせない要素です。正しい方法で行うことで、虫歯や歯周病のリスクを低減し、健康な歯を維持することができます。